こんにちは。
千葉市で30年以上、地域の皆様の歯の健康を守り続けている原田歯科・矯正歯科クリニック院長の原田です。
先日、歯科業界だけでなく、一般の皆様の間でも非常に大きな衝撃を与えるニュースが飛び込んできました。福岡県福津市の大型ショッピングモール「イオンモール福津」内にあった「たくみ歯科(運営:巨匠会)」が、突然閉院し、破産申請の準備に入ったという報道です。
インターネット上のニュースやSNSのコメント欄を見ると、多くの方々から驚きと不安の声が上がっています。
「1ヶ月先まで予約が取れないほど、患者さんがたくさん来ていたのに、なぜ破綻してしまうんだ」
「あんなに繁盛しているように見えた歯医者が潰れるなら、普通の歯医者は一体どうなってしまうの?」
このように不安を抱かれるのは当然のことだと思います。
しかし、歯科業界に30年以上身を置く私から見ると、実はここには「ショッピングモール内の歯科医院ならではの構造的な問題」、そして「現代の日本が直面している物価高と保険診療の仕組み」という、深い裏事情が隠されているのです。
今回は、一般にはあまり知られていない医療現場のリアルな現状を紐解きながら、「本当に安心して通える、そして安心して働ける歯科医院とはどういう医院なのか」を分かりやすく解説したいと思います。
1. 患者が多くても赤字になる?モール型歯科医院が抱える「3つの罠」
「毎日たくさんの患者さんが来院し、常に賑わっている歯科医院」がなぜ倒産してしまうのか。そこには、ショッピングモールという特殊な立地がもたらす、経営上の「3つの罠」が存在します。
① 「定期借家契約」と重い維持費の負担
多くの大型ショッピングモールに出店する際、歯科医院は数年から10年といった単位の「定期借家契約」を結ばされます。
この契約の恐ろしいところは、「思ったより採算が合わないから、来月で撤退します」という途中解約が原則としてできない点です。
もし途中で解約しようとすれば、残りの契約期間の家賃を違約金として一括で支払わなければならないケースがほとんどです。
さらに、そのテナント料は単なる固定費ではありません。
「最低保証賃料(固定)」に加えて「売上連動(歩合)賃料」という契約になっていることが多く、利益ではなく「売上」に対して一定の割合が引かれます。
つまり、患者さんが増えて売上が上がれば上がるほど、モールに支払う家賃も跳ね上がる仕組みです。
これに加えて、モール全体の販促費や共益費、夜間警備費なども容赦なく上乗せされるため、見た目の売上が高くても、手元に残る利益が極限まで削られてしまうのです。
② 急患の多さと、キャンセル率の高さ
ショッピングモール内の歯科医院は、お買い物ついでに立ち寄る方が多いため、「詰め物が取れた」「急に歯が痛くなった」という飛び込みの急患対応が非常に多くなります。
その一方で、「お買い物の予定が変わった」「用事が長引いた」といった理由による、直前のキャンセルも多発しやすいという明確な特性があります。
歯科医院を健全に経営し、患者様に質の高い医療を提供するためには、計画的な治療と事前の予約管理が欠かせません。しかし、急患が乱入し、一方で予約のキャンセルが相次ぐような環境では、一時的に自費診療で潤う月があったとしても、「お口の健康を長く守るための定期管理・メインテナンス」へ患者様を定着させることが非常に難しくなってしまいます。
③ 深刻な人手不足と、終わりなき求人費の「垂れ流し」
土日や祝日も休まず営業し、夜も遅い時間まで診療を行うモール型の歯科医院は、現代の働くスタッフ、特に国家資格を持つ歯科衛生士さんにとっては非常に過酷な労働環境です。
子育てやプライベートとの両立が難しいため離職率が高くなりがちで、常に新しいスタッフを募集し続けなければなりません。昨今の人手不足も相まって求人コストは高騰しており、常に莫大な求人費用を垂れ流し続けなければならない状態が、医院の経営基盤をガリガリと削っていくことになります。
2. 1年で1%しか上がらない国の報酬 vs 年10%の物価高騰
モール型の特性だけでなく、いま日本全国のすべての歯科医院が直面しているのが、「現代の物価高」と「国の診療報酬」の圧倒的なミスマッチです。
皆様も日々の生活の中でひしひしと感じている通り、現在、日本の物価は年に10%近いペースで上昇しています。
特に国際情勢の影響もあり、歯科医療で日常的に使用する金属(金銀パラジウム合金など)や麻酔薬、グローブやマスクといった消耗品の価格は、ものによっては30%から50%も値上がりしています。人手不足に伴う人件費の上昇も、経営を大きく圧迫しています。
それに対して、私たちが国からいただく「保険診療の報酬(点数)」は一体どうなっているでしょうか。
実は、国の医療費抑制方針もあり、保険診療の点数は2年間に一度の改定で、実質わずか2%程度――つまり、1年間で換算すると約1%程度しか上がっていません。
これだけ出ていくお金(材料費・光熱費・人件費)が爆発的に増えているのに、入ってくるお金(診療報酬)はほぼ横ばいのまま。もし、ただ単に「虫歯ができたら削って、詰め物やかぶせものをする」という従来の保険診療のサイクルを回し、回転率(患者数)だけで勝負しようとすれば、やればやるほど赤字になってしまうのが、現代の歯科医療の残酷な現実なのです。
3. これからの時代に求められる、歯科医院の「正しいカタチ」
では、これからの時代、歯科医院はどのような形で社会に貢献し、同時に健全な収益を上げて経営を維持していくべきなのでしょうか。その鍵は2つあります。
鍵その①:「定期管理(予防・メインテナンス)」へのシフト
国の方針(骨太の方針)をみても分かるとおり、現在の歯科医療は「悪くなったら削って詰める」から、「悪くならないように守る」へと大きく舵を切っています。
一度治療したお口の状態が長く維持できるように管理していくこと。歯周病を徹底的にコントロールし、一生自分の歯で美味しくご飯が食べられるようにサポートしていくことです。
近年の医療データ(エビデンス)では、歯の本数が多くてお口の健康状態が良い人ほど、全身の健康状態が良好であり、結果として生涯にかかる国全体の医療費を大幅に削減できることが証明されています。
だからこそ、国もこの「定期管理」に対する報酬を推奨しているのです。
鍵その②:「質の高い自費診療」の適正なご提供
もう一つの大きな柱が、保険診療の枠組みにとらわれない自費診療の提供です。
例えば、見た目が美しく経年劣化しにくいセラミックスの歯を入れる、精密な技術で噛み合わせを再現した入れ歯を作る、あるいはインプラントやホワイトニングを行うといった治療です。
自費診療は、使用できる材料やかけられる時間に制限がないため、患者様に対して格段に質が高い、その方にとって最善のオーダーメイド医療を提供することができます。
その価値に見合った適正な報酬をいただくことで、歯科医院としても健全な収益を上げることができ、その利益をさらに最新の医療設備の導入や、スタッフのより良い労働環境へと還元していくことができるのです。
4. 千葉市で30年以上。原田歯科・矯正歯科クリニックが「絶対的に安心」と言える理由
「そんなに歯科業界が厳しいなら、私たちはどこの歯医者を信じて通えばいいの?」と不安に思われるかもしれません。
ですが、どうぞご安心ください。当院、千葉市の原田歯科・矯正歯科クリニックは、平成2年に法人化して以来、30年以上にわたり、この千葉の地にしっかりと根ざして順調に診療を続けてまいりました。今回のニュースのような時代の荒波に左右されず、私たちが安定した経営を維持できているのには、明確な理由があります。
土地も建物もすべて「自社物件」であること
当院は法外なモールのテナント料を支払う必要もなければ、途中で辞められない定期借家契約のような縛りも一切ありません。他院と競い合うような無理な設備投資もいたしません。
高い「定期管理」の定着率
当院は、先ほどお話しした「お口の健康を長く維持するための定期管理・メインテナンス」を目的に、何年もの間、安心して通い続けてくださる地域の方が非常に高い割合を占めています。
キャンセル率は驚異の5%以下
歯科業界では「キャンセル率が10%以下なら非常に優秀な優良医院」と言われる中、当院のキャンセル率は5%以下です。
これは、通ってくださる患者様が私たちを信頼し、お互いの時間を大切にしてくださっているという、素晴らしい絆が築けている証拠です。
高い自費診療の選択率
「本当に質の良い、長持ちする治療を受けたい」という患者様が多く、私たちの医療技術と提案に対して、高い価値を認めていただいております。
5. まとめ:患者様にも、働くスタッフにも、最高の安心を
今回の破産ニュースは、一見すると「歯科医院の危機」のように見えるかもしれません。しかし本質は、無理な拡大路線や、モールの構造に依存した経営スタイルが、現代の物価高に耐えきれなくなった結果です。
正しい経営理念を持ち、患者様と誠実な信頼関係を築いている地域密着型の歯科医院であれば、これからも決して揺らぐことはありません。
当院が安定経営を続けているということは、通ってくださる患者様にとっては「明日、突然閉院するような心配が一切ない、一生付き合える安心のホームドクターである」ということです。
そして、ここで働くスタッフの皆さんにとっては「過酷な戦場のような働き方に追われることなく、経営が安定したクリーンな環境で、誇りを持って長く安心してキャリアを築いていける職場である」ということです。
私たちはこれからも、患者様の笑顔と、働く仲間の安心を第一に考え、この千葉の地で誠実な医療を届けてまいります。
お口のお悩みや定期検診のご相談など、いつでもお気軽に来院してくださいね。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。