ゴールデンウィークの真っ只中、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
千葉市若葉区の原田歯科・矯正歯科クリニック、院長の原田幹夫です。
歯科医院にとって、診療用のユニット(チェア)はまさに「命」とも言える存在です。これがないと、私たち歯科医師は患者さまに十分な治療を提供することができません。しかし、機械である以上、どれほど大切に扱っていても故障や不具合は避けて通れないものです。
先日、当院でもユニットの調子が悪くなるというハプニングがありました。私が長年愛用しているのは オサダ(長田電機工業)というメーカーの機械なのですが、あいにくの大型連休中 担当者の携帯電話に連絡を試みてもつながらず、会社本体も連休休みで、サポート窓口への連絡も叶わないという状況に陥りました。
「困った、何とかならないか……」 そう思い立ち、私はかつての資料や古い住所録をすべて洗いざらい探し始めました。 整理しているうちに、昭和の終わりから平成の初め頃のものと思われる一通の古い案内状が目に留まりました。そこには、今では考えられないような驚くべき内容が記されていたのです。
「不満があれば、社長へ直接お電話ください」 その案内には、当時のオサダの社長の電話番号が堂々と記載されており、こう結ばれていました。 「当社の機械に対して、何か不満でも要望でもあれば、いつでも社長に直接電話してほしい」
さすがに令和の今、このような制度は姿を消しています。
しかし、その色褪せた紙面からは、当時のメーカーが持っていた凄まじいまでの「覚悟」と「責任感」がひしひしと伝わってきました。
おそらく当時は、連休中にチェアが壊れて担当がつかまらないとき、切羽詰まった歯科医師がその番号へ電話をかけたこともあったのでしょう。すると、社長から直接そのエリアの営業責任者へ指示が飛び、休日返上で、場合によってはその日のうちに修理担当者がクリニックへ駆けつける——。そんな熱いドラマのような光景が当たり前に行われていたのではないかと想像します。
それは単なるカスタマーサービスを超えた、「プロとしての執念」です。
時代が変わっても変わらない「信頼」の本質
現代は効率化が進み、コンプライアンスや働き方改革も重要視される時代です。休みは休みとして確保されるべきですし、社長に直接電話をかけるという手法は、今の社会構造にはそぐわないかもしれません。
しかし、私がその古い案内状を見て深く心を打たれたのは、「お客様(歯科医師、そしてその先にいる患者さま)を絶対に困らせない」という強烈な姿勢です。
私たち歯科医師も同じです。
原田歯科・矯正歯科クリニックでは、現在、クリニックの改装プロジェクトを進めており、5月12日にはチェアを3台増設する予定です。設備が新しくなり、最新のデジタル技術を取り入れたとしても、最後に問われるのは「人間としての信頼関係」だと私は信じています。
機械が止まれば診療が止まる。診療が止まれば、痛みや悩みを抱えて来院される患者さまを救うことができなくなる。その重大さを誰よりも理解し、責任を取ろうとした当時の社長の姿勢は、時代を超えて私に大切なことを思い出させてくれました。
「テレフォン・ゼロ」への挑戦と、患者さまへの約束
当院では、5月下旬から「テレフォン・ゼロ」という新しい取り組みをスタートさせます。これは、従来の電話対応をテキストベース(医院ホームページのお問合せフォーム等)による問い合わせプロトコルへ移行させる試みです。 (電話での受付は昼1時間のみに限定します)
一見すると「デジタル化による効率化」に見えるかもしれませんが、その真の目的は、当時のオサダの社長が掲げた精神と通じるものがあります。それは、「いつでも、確実に、記録に残る形でコミュニケーションを取り、最善の対応をする」ということです。
電話がつながらない不安、返信を待つもどかしさ。そうしたストレスを可能な限りゼロに近づけたい。昭和の「社長直通電話」が持っていた熱量を、令和のデジタルツールを使って再現したいと考えているのです。
結びに代えて
古い住所録から見つかった一枚の案内。それは、私にとって単なる懐古の対象ではなく、これからの歯科医療、そしてクリニック経営における「指針」となりました。
どれだけ技術が進歩し、システムが洗練されても、根底にあるのは「目の前の人の困りごとを解決したい」という情熱です。今回のゴールデンウィークのハプニングは、私にその原点を再確認させてくれる貴重な機会となりました。
これからも、原田歯科・矯正歯科クリニックは、最新の設備と、それ以上に熱い「責任感」を持って、皆さまのお口の健康を守り続けてまいります。
連休明け、新しくなった診療室で、また皆さまの笑顔にお会いできることを楽しみにしております。
原田歯科・矯正歯科クリニック 院長 原田幹夫