こんにちは
原田歯科クリニックの原田です。
最近すっかり涼しくなりましたね。
先日、新栗の栗ご飯をいただきました。秋は食べ物が美味しいですね。
先日知り合いの歯科医師からこんなことを聞きました。
これは実際に本人の口から聞いたことです。
その歯科医師はある歯科医院に非常勤で勤務しています。
そこの医院の方針は歯の表面が茶色くなっていたらどんなに小さくても削って詰めて医院の収入をアップせよという方針だそうです。
これって30年前の歯医者ならあったことかもしれませんが、未だにこんなことを、しかも意図的にやっているとは非常に残念です。
歯の表面がちょっと茶色くなっているとしてもそれは治療が必要なむし歯とは限りません。
歯が茶色や黒になっていて特に穴が開いてなければまずやるべきことがあります。
それは正しい診断を立てることです。
例えばレントゲン撮影して本当に歯の中がむし歯なのかを調べます。
こんなこともしないで、口の中を見ただけでいきなり歯を削ってササッと詰め物をして診療報酬を稼ぐとは残念な医院です。
その知り合いの歯科医師は良心があったので、削らなくてよい歯を削らずに経過観察にしたところ、医院の報酬が上がらないので勤務日数を減らされたそうです。
歯の表面がちょっと茶色でも3ヶ月に1回の歯科定期健診をして、むし歯予防のフッ化物塗布をしていれば、そのまま何十年も歯を削らずに長持ちすることは普通にあります。
一方、歯の詰め物は所詮人工物ですから、一生モノではありません。
具体的には、歯の詰め物の寿命は平均5年程度と言われています。
今の日本人の平均寿命は何年ですか?
約80年です。
その人生の中でたった5年しか持たないものを入れたらどうなるか?
詰め物が外れたり欠けたりしてやり直す日が来ます。
再度治療するときには、さらに大きく歯を削ります。
これを5年毎に繰り返したらどうなるか?
詰め物はどんどん大きくなり、やがては被せ物になり、次は歯の神経を除去し、さらには歯が割れて抜かなければならなくなるというマイナスのサイクルに入ります。
あのとき削らなくてよい歯を削ったためにです。
私は複数の学校の学校歯科医をやっています。
毎年学校で歯科健診を行うのですが、5年以上前から健診で CO ( シーオー ) という歯の診断項目があります。
CO の C は、むし歯(カリエス)のこと。O は、オブザベーション、つまり経過観察のことです。
要するに歯科健診項目でもすでに、すぐに治療せずに経過を見ろよ!という項目があるわけです。
このことは歯科医師なら誰でも知っていることです。
にもかかわらず、不必要に健康な歯を削って(人さまの体に傷をつけて)診療報酬をいただいているのは犯罪に値すると私は考えますが、どう思いますか?