自由診療とは
投稿日: 2017年12月14日
自由診療とは今の医学レベルでその医院でできる最高の治療
歯科治療ではよく自由診療が行われています。
では、自由診療とは何でしょうか?
ひとことで言うと今の医学レベルでその医院でできる最高の治療です。
患者さんの立場に立てば、できるだけ質の高い治療をしてもらいたいというのは当然ですよね。わざわざ質の低い治療を受けたいとは普通は思わないでしょう?
つまり、自由診療 = 標準治療 と言い換えてもよいでしょう。
ところが歯科治療の中には健康保険診療(以下、保険診療と略します)というものがあります。これは歯科治療の中のごく一部を占めるものであり、別名 制限診療とも言います。
その名の通り、治療内容に制限が設けられているものであり、ある人は保険診療のことを 最低限度のことしかできない救済医療 と言っています。
例えば、前歯にはプラスチックの材料しか使えないのですが、これは変色してしまいます。前歯の色が変わったら困りますよね。
奥歯にかぶせる金属材料ではパラジウム合金だとかニッケルクロム合金というものが日本の保険診療では認められているのですが、これはドイツやスウェーデンの歯科医院で万一使うと使用した歯科医師は逮捕されます。特にニッケルクロム合金は金属アレルギーを起こしやすい金属ですし、固過ぎて噛みあう歯が傷みやすい、それ以前に歯とぴったりいかない、など とんでもない材料です。
材料の違い = 治療の質の違い = 歯が長持ちするかどうかの違い と言うことができます。
ところが困ったことに厚生労働省や一部の健保組合の人は、通常必要とされる治療は健保でできるなどと事実に反することを平気で言ってます。困ったことです。
一方、これは現実的な話なのですが、健康保険での診療で1回の治療予約の枠を30分確保してある医院は良心的ではないでしょうか?
一部の医院では1時間に4人、つまり15分にひとりで予約の枠を設定しているところもあります。
ちなみに歯科の先進国、欧米の一般的な歯科医院ではひとりの歯科医師は1日に10人未満しか患者さんを診ません。
つまりひとりの患者さんに1時間以上時間をかけているのが普通(標準)です。
ただし、欧米では歯科治療は健保は原則適用されず、自由診療( = 標準診療)です。
あるアメリカ人の歯科医師が、日本の歯医者で1日にひとりで30人も患者さんを診ている人がいると聞いて、そんなことをアメリカでやったら患者から訴えられると言ってました。つまり、日本で歯科医師がひとりの患者さんに30分かけているとして、1日8時間診療しているなら1日に16人も診ているというのは、世界標準から見ると異常な事態であるわけです。
では、なぜ日本の歯医者がひとり30分しか保険診療で時間を取れないかという理由はここでは説明しません。説明しても納得してもらうのは難しいからです。何しろ我々歯科医療従事者でさえ今の保険診療には納得していないのですから。
さて、わかりやすい例として日本でよく行われる、そして治療の成功率が必ずしも高くない根の治療(根管治療)について解説しましょう。
欧米では根管治療は1回治療が標準です。かかっても2回で終わります。
ところが日本では5回以上かかるのは当たり前、ひどい例だと1本の歯の根の治療に半年通院させている医院もあります。
これがいかにひどいことかを説明します。
(1)1回60分で2回で治す方法
(2)1回30分で5回通院してもらう方法
当クリニックでは30分の患者さんの枠を頂いているならそのうち20分で手を動かす治療、5分で説明、5分でカルテ書きや次回の予約の相談としています。
つまり、30分の枠でも実際術者が手を動かしているのは実質20分です。60分の枠なら50分は手を動かしている時間、5分で説明、5分でカルテ書きや次回の予約の相談です。
もう少し細かい話をします。(2)の場合、20分のうち最初に仮の詰め物をはずし、最後に仮の詰め物でフタをします。これに要する時間は5分なので実質的な治療時間は15分です。(1)の場合にもその時間が5分かかるので 50–5=45分が実質的な診療時間です。
つまり、(1) で2回通院だと 45×2=90分が実質的な治療時間です。
一方、(2) だと5回通院なので 15×5=75 分が実質的な治療時間です。
つまり、60分で2回の通院のほうが、実質的な治療時間は2割も多いのです。
また、これに通院時間、交通費、クルマで通院なら3回分多く通院することによる排出CO2のことを考えると日本で普通に行われている治療がいかに普通でないかがわかります。