エムドゲイン(エムドゲン、EMD)人工骨による歯肉の再生療法
投稿日: 2017年12月14日
歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなると、そこは歯磨きすることができないので、悪玉菌のすみかとなり、歯周病がますます進行してしまいます。
そのため、歯周ポケットを浅くする必要があるのですが、1970年代から行われてきたのは、歯周外科という手法で、ポケットを浅くするために、歯肉を切除し、歯肉を開いて根の表面、セメント質に付いた歯石を徹底的に除去し、ルートプレーニングといって根の表面をツルツルにする方法です。
この方法で確かに、ポケットは浅くなるのですが、同時に歯肉が失われ、歯がとても長くなり、今まで歯肉に被われていた根の表面が外に露出することによって、歯がしみてきたりするという副作用があります。
こうした弊害をなくすために開発された手法が再生療法と呼ばれるものです。
再生療法の代表的な方法は、エムドゲイン(エムドゲン)と呼ばれるエナメルタンパクを根の表面に塗って、単に歯周ポケットを浅くするだけでなく、歯肉やセメント質、歯槽骨を再生させ、さらにそれを促進するために、人工骨を併用するというものです。
写真は、歯周病によって、歯を支えている顎の骨や歯肉が失われた方に対して、再生療法を実施したもので、従来の歯科技術では、歯槽骨が徐々に溶けてなくなるのを待つしかなかったのですが、術後6か月で歯を支えている骨が回復していることがわかります。
一部のグループが歯周外科に対して批判的なのは知っていますが、もし、この方を昔の手法で治そうとしても限界があり、歯を抜けば次はインプラントかブリッジです。
私たちは、決して新しい手法に飛びつくのでなく、その安全性と長期間のデータを吟味して、真に患者さんにとってメリットがある方法を提案します。