口腔がんを予防するための意外なヒント
投稿日: 2017年12月14日
口腔がんを予防するための意外なヒント
日本人の約3分の1はガンで亡くなることがわかっている。しかし、胃がん、肺がんなどメジャーなガンの発生率は下がっているにもかかわらず、口腔がんだけは世界的に増えている。
図の東京医科歯科大学口腔外科作成のパンフレットによると、口腔がんにはいくつかの原因があり、中でも最大の原因はタバコ、次はお酒ということになっている。それ自体は正しい。しかし、酒もタバコもやらない本来ならガンの発生リスクが少ない若年者に口腔がんが増えているのだ。その原因は、この東京医科歯科大学口腔外科のパンフレットにはなぜか書かれていないが、世界的に口腔外科の専門医の中ではよく知られている。
それは、ORAL SEX だ。
ヒトパピローマウイルスの感染により、口の中及び咽頭部のガンが増えていることは、エビデンスのあることとして専門医の中では半ば常識になっているのだ。論文の中には予防策として、パピローマウイルスのワクチンを若年者にも接種するとか、コンドームの使用を提唱しているものもある。しかしながら、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因 virus でもある。
最近この子宮頸がんのワクチン接種について、その副作用が問題になっており、安易にワクチン接種をすべきでないということも考えられる。とにかく、ここに今世界的に増えている口腔がんのことを書いたのは、酒とかタバコとかありきたりの原因だけでなく、ORAL SEX は大きな原因であることを多くの方に知ってほしいからだ。
最後にこれに関してマドリッド大学の論文を引用する:
Oral cancer, HPV infection and evidence of sexual transmission.
Martin-Hernan F, Sanchez-Hernandez JG, Cano J, Campo J, del Romero J.
Source
Universidad Complutense de Madrid, Madrid, Spain.
Abstract
The incidence of oropharyngeal cancer and oral cancer is growing worldwide, both in young non-smokers and in young non-drinkers (smoking and drinking are considered the main risk factors).
Epidemiologic studies suggest a strong association between the infection by human papillomavirus (HPV), especially types 16 and 18 (high oncological risk) which have already demonstrated their etiological role in anal tumours as well as in cervix cancer.
There is clear epidemiologic evidence that both types of tumours relate to changes in sexual behaviour and that both are linked to sexual transmission of HPV.
The number of oral and oropharyngeal cancer cases is rising nowadays, especially among young individuals with no typical toxic habits, such as tobacco and/or alcohol.
In this review we set out to update the aspects related to the onset of oral cancer, its relationship with HPV infection and whether this association may be due to the sexual transmission of the virus.
PMID: 23524417 [PubMed – in process] PMCID: PMC3668870 Free PMC Article
がん(口腔がん)にならないための十二か条
- 不適合義歯を直す
- むし歯や詰め物が離脱したままの鋭利な歯を治療する
- 喫煙しない(受動喫煙も含む)
- アルコールは摂り過ぎない
- 野菜やくだものなどバランスの良い食事をとるように心がける
- 熱い食べ物は避ける、辛い物もほどほどに
- 塩分は摂り過ぎない
- 体重を維持する(BMI:男性21~27、女性19~25)
- 定期的な運動を心がける
- 添加物が多い加工肉は避ける
- カビの生えたものは食べない
- 一年に1回はがん検診を受けるようにする
※1~6は特に口腔がんとの関連性が高いとされています。