口の中の腫瘍は定期健診で対応できる
投稿日: 2017年12月14日
口の中の腫瘍は早めの対処を
皆さん、胃、肝臓、肺などの全身のガンは、減っているのに口の中のガンは、増えているのは、ご存知ですか?
このことは、最近 歯科医師会などが熱心に啓蒙活動しているので、広く知られてくるようになりました。
しかしながら、口の中の悪性の腫瘍は増えているとはいえ、頻度はまだまだ少なく、臨床歴27年以上のスマイルデザインマスター原田幹夫院長も、自分の患者さんで2名しか遭遇したことはありません。
一方、これは意外に知られていないことなのですが、口の中の良性腫瘍は結構な頻度で、お目にかかったことがあります。
良性だからといって放置してよいということは全然ありません。
放置すれば顎を切除しなければならなかったり、歯が生えてこなくなり、歯並びがガタガタになることになりかねないからです。
ここにお見せする症例は、歯牙腫とエナメル上皮腫です。
(個人を特定するのを避けるため、わざと画像を加工してあります。ご容赦願います)。
まず、この歯牙腫の患者さんですが、乳歯の時は、レントゲンで見ても何ら異常はありませんでした。
しかし、なかなか歯が生えてこないので、レントゲン撮影したら、良性腫瘍である 歯牙腫が見つかりました。
口腔外科に紹介し、腫瘍を摘出してもらい、歯並び矯正をして、なかなか生えてこない永久歯を引っ張り出し、きれいな歯並びにすることができました。
次は、エナメル上皮腫(ameloblastoma)
これは、絶対に放置してはいけない疾患です。なぜなら放置すると、腫瘍は大きくなります。
こうした腫瘍は原則的に摘出手術が必要です。
もし、腫瘍が大きくなればなるほど、顎を大きく摘出しなければなりませんし、周囲の歯も抜く必要があります。
顎を取ってしまい、歯を抜けば、もちろん人工物(入れ歯やインプラント)で補綴するわけですが、事前に腰の骨を移植してきたり、かなり大がかりな処置が必要になり、治療期間も長くなり、患者さんの生活の質(QOL: Quality of Life)も下がります。
こうした腫瘍は歯科医院で発見することはできないでしょうか?
答えは、YES ! です。
この画像にあるような腫瘍は、恐らくほぼ100% の歯科医院にあるパノラマレントゲン写真で、容易に発見できます。
歯科医院に定期健診に通い続けることの大切さは、歯を長持ちさせる、具体的には、むし歯、歯周病を早期に発見し、早めに対処するという観点から、多くの方に知れ渡るようになりました。
しかし、口の中の腫瘍を早期発見するという観点からは、まだまだであると言わざるを得ません。
ピュアスマイル原田歯科クリニックの院長スマイルデザインマスター 原田幹夫が、1990年代にフィンランドの予防歯科研修を受講したときに、口腔腫瘍の発見という観点から、
歯科医院での定期的チェックアップの必要性が強調されていました。
残念ながら、歯科衛生士が在籍していない歯科医院というのが多くあります。
ここでは、むし歯と歯周病の予防という観点からの継続的なチェックアップを期待することはできません。
しかし、口腔腫瘍の発見なら、すべての歯科医院には歯科医師がいるので、どこの歯科医院でもできます。
知り合いでエナメル上皮腫になった人がいるので、心配なので 口の中にガンができてないか、パノラマレントゲンで調べてくれませんか?と言って、断られることは少ないと思います。
ただし、必ず予約してから受診して下さいね。
それでは、どれくらいの間隔で受診したらよいでしょうか?
これに関して、2014年に院長スマイルデザインマスター原田幹夫が、スウェーデンのマルメ大学でオーラルフィジシャンセミナーを受講したときには、決められた間隔はない(例えば、3年ごとに という決まりはない)、必要だと思ったら撮影するということです。
レントゲンの被曝に関して、心配な方もいるかもしれません。
しかし、歯科のパノラマレントゲン写真は、口全体を撮影するとはいえ、被曝の量は極めて微量で、1回の撮影での健康への影響はタバコ1本を吸った程度だということがわかっています。
利益とコストのことを考えたら、絶対に歯科医院に定期的に受診することをお勧めします。