クロルヘキシジンCHXが、むし歯予防と歯周病治療に有効なわけ

クロルヘキシジン、略してCHX は、適正な濃度で用いるとむし歯予防や歯周病治療に有効であることがわかっており、世界中の歯科医療の現場で使われていますが、日本では昔発生した副作用のみが やたらと強調され、十分に活用されてはおらず、結果的に日本で適正な対応が患者さんに対して施されていないのは、とても残念なことです。

考えてみれば食品にだってアレルギーを引き起こすものは、例えば、蕎麦、大豆、小麦、卵、メロン、マンゴー、カニ、エビなど多数ありますが、だからといってこれらの食品を全否定したり、販売禁止にすることはありません。
医薬品についても、例えば、ペニシリンがショックを起こすことがあることは、有名ですが、ペニシリンで助かった人は はるかに多いわけです。

しかも、このクロルヘキシジンは産婦人科領域で副作用が出たことが報告されていますが、歯科において発生した副作用は、画像のように、本来の使用方法とは違う 自己流の方法で使ったものであります。
歯周病を勉強した人ならわかりますが、歯周ポケットに存在する悪玉菌にクロルヘキシジンを使っても、これらの菌に対して CHX は効きません。

CHX が有効なのは、歯肉縁上のプラークに対してです。
ですから、適度な濃度のクロルヘキシジンで含嗽(うがい)することは、歯周病やインプラント周囲炎、及び、メンテナンスにとってとても有効なことは、エビデンスがあることなのですから、もっと推奨されるべきです。

昔から、何とかと薬は使いようと言いますが、むし歯予防効果のあるフッ化物についても、適正な濃度で使用すれば、きわめて有効なのですが、間違った濃度で使えば、副作用を起こすのは言ってみれば当然で、しかも工業用のフッ化水素酸と歯科の現場で使うフッ化物の区別すらついていない人もおり、フッ素という言葉を聞いただけで原理主義者のように、頭から否定する方が歯科医師の中にもいるのは情けない話です。

そのくせ、歯を黒くするサホライド(これも、フッ化ジアミン銀というれっきとしたフッ化物です)をむし歯の進行防止と称して塗っている方が大勢いる、これが日本の歯科医療の現状です。

クロルヘキシジン、CHX は、トレーにジェル状のものを盛って歯に一定時間圧接すれば、むし歯予防効果が期待できます。
これを,3 DS (スリーディーエス)と言います。

アナフイラキシーショックの事例

国内で報告された2例のCHGによるアナフイラキシーショックの報告は、いずれも洗口液の用法外使用によるものです。炎症部位や創部などの感受性の高い部位に使用することでリスクが上昇します。

事例1:30代男性

発生時 平成13年12月
発生場所 和歌山県内の歯科医院
発生状況 午前10時50分頃、歯周治療の後、CHGを有効成分とする希釈タイプの洗口剤(医薬部外品)の原液(濃度0.36%)の5~6滴を約10両で希釈し(CHGとして0.005から0.010%程度)、シリンジで歯周ポケットに直接注入する形で洗浄を行った(適応外使用)。その直後、アナフイラキシー様のショックが発生した。
対応 急車の手配。患者さんにはショック体位をとらせ、気道確保を行った。その後病院に搬送。
予後 方回復し、帰宅。

事例2:50代男性

発生時期 平成15年8月
発生場所 東京都内の歯科医院
発生状況 午前9時30分頃、歯周膿瘍の症状確認とスケーリングを行い、治療の最後でCHGを有効成分とする希釈タイプの洗口剤(医薬部外品)の原液(濃度0.36%)の4滴を、水50mlで希釈しくCHGとして0.0007から0.0010%程度)、シリンジで歯周ポケットに直接注入する形で洗浄を行った(適応外使用)。午前10時頃、耳の後ろがかゆくなり始め、それが全身に及び、胸にアレルギー様の発赤が認められた。つづいて呼吸困難となり、3分後一時的に全身が硬直。
水を飲むが嘔吐し、意識はあるが立っていられない状態となる。
対応 急車の手配。病院に搬送。
予後 時40分頃の病院到着時の血圧は、60mmHg。集中治療室へ。その後、数時間で回復。1日後に一般病室に移り、2日後退院、3日後に職場復帰した。
備考 者には本事象発生以前に同剤を4~5回使用している。また、本事象発生以前に体のかゆみと発疹があった。CHG配合の一般用外用薬を傷口などに長年使用しており、同年1月に耳に塗布した際に耳が熱くなり赤くなったので、すぐにふき取った経緯があった。

CHG洗口液によるアナフイラキシーショックのいずれの事例も、適切な初期対応と救急処置の対応により、患者さんは回復しました。アナフイラキシーショック対策の最も有効な手段は予防です。
問診により患者さんから情報を得て、疑いがあれば使用しないようご案内ください。

グルコン酸タロルヘキシジン(CHG)について

コンクールFには、殺菌成分としてグルコン酸クロルへキシジン(CHG)が配合されています。
今回は、よくご質問にあがるCHGの有効性とその副作用について、分かりやすく紹介させていただきます。

CHGの有効性

CHGの利点は口腔内での貯留性が優れています。歯は粘膜、ペリクルや唾液に結合し、最大12時間まで唾液中の細菌増殖を抑制することが報告されています。また陽イオン性化合物であり、陰イオン性を示す細菌表層に吸着し、細胞膜に障害を与えます。つまり、プラーク(バイオフィルム)にも付着し、持続的に殺菌効果を発揮します。このような性質から、特にプロフェッショナルケア直後から用いることで高い予防効果が得られます。
コンクールFの場合、洗口液としての適正使用時のCHG濃度は約0.0001-0.0006%です。コンクールFによる口腔細菌のMIC(最小発育阻止濃度)の研究結果より、適正使用時においても口腔細菌に対し、発育阻止効果があると思われます。CHGはinvitro,invivoにおける多くの研究があり、口腔内使用時の臨床効果の予知性に優れたものと言われております。

コンクールFのCHG濃度で発育が抑制された菌

CHGの副作用

CHGによる着色

CHGは歯面や粘膜、ペリクル、唾液にも結合し数時間口腔内にとどまるため、優れたプラーク付着抑制効果と歯肉炎予防効果が得られる反面、歯面や舌に着色しやすくなります。この着色は歯面清掃により除去できるため、適切なメインテナンス期間を設定することで、CHGの利点を生かすことができます。
また、CHGによる着色は、歯面に留まったCHGへの食品色素の沈着とポリフェノールとの反応により助長されますので、飲食を行わない就寝前に洗口液を使用することを推奨いたします。

味覚障害

CHGによる味覚障害は、欧米で使用されている0.12%,0.2%のCHGを用いた報告であり、国内のメーカー指示濃度での味覚障害の報告はございません。

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